コラム

第75回 強迫性障害について

2024.05.14

今年のはじめ、ある俳優さんが長年「強迫性障害」を患っていることをカミングアウトされました。 

強迫性障害と聞いて、正しくイメージできる方もいれば、 

「きょうはくって...脅迫...?」と変換される人もいたりと、

比較的まだ認知度が低い病気かもしれません。 

 

強迫性障害は「強迫観念」と「強迫行為」が主な症状です。 

 

例えばみなさんも、外出後に「あれ、家のカギ閉めたっけ?」と不安になった 

経験は一度はありますよね。 

通常であれば「きっと、閉めたはず」と思い直したり、 

一度だけ戻って確認して出直す、といった行動をとると思います。 

 

しかし、強迫観念が強いと、たとえ一度確認に戻ったとしても、 

「やっぱり閉めてないかもしれない、どうしよう」という不安が頭を 

ぐるぐるし始めて、用事に集中できなくなるといったことが起きます。 

このぐるぐると頭を占める不安を「強迫観念」と呼びます。 

 

またある時は、用事に遅刻するとわかっていながら 

ガチャガチャと鍵を何度も何度も回して確認をしてしまう。 

これが「強迫行動」です。 

 

上記のような症状以外にも、 

不潔・洗浄 (帰宅後は手を10回洗わないと落ち着かないなど) 

加害恐怖  (誰かを車でひいたかもという不安が頭から離れないなど) 

数字へのこだわり (7回足踏みしないと外出できないなど) 

といった多様な症状があります。 

 

治療が必要になるか否かは「本人がその観念や行動に対して苦痛を感じているのか」が基準です。 

強迫観念や行動によって、時間のロスや強い疲労感を感じていれば治療が必要です。 

 

原因については、遺伝的要因やストレスなどが複雑に影響してとも言われているので、

もし症状が出ている場合は、ストレスと感じるものから自分を守る行動をとってみたり、

心療内科や相談室などの専門機関にまずは相談してみましょう。