コラム

第83回 感覚の話 その2

2024.10.01

前回のコラムから引き続き、感覚の中でも自分の体の情報を伝える感覚 

「触覚」「前庭覚」「固有覚」についてご紹介します。 

 

「触覚」「前庭覚」「固有覚」のいずれも、他の感覚に比べて日ごろ意識することは 

少ないかもしれません。 

ですが、他の感覚と同様に個人差があり、繊細に感じることが苦手であったり、 

反対に敏感なあまりに苦痛を感じたりする人がいます。 

特に子どもの場合には、これら感覚の苦手ゆえに生活の中で目立つことがあります。 

 

例えば、人から触られることを嫌がる子ども。(触覚)

反対に、なんでもべたべた触る、あるいは口入れてしまう子ども。(触覚) 

また、高いところ、不安定な所を好んで遊ぶ子ども。(前庭覚)

姿勢を保つことが苦手で、だらんとした姿勢でいる子ども。(前庭覚) 

物や他人によくぶつかる子ども。(固有覚)

この他にも、色々な様子で感覚の過敏さや感じにくさが現れることがあると言われています。

 保育園児を対象に行ったある研究では、約3割の子どもにこうした特徴が 

みられたという報告もあり、決して少なくありません。 

 

こうした感覚がアンバランスな子どもには、日常に様々な感覚遊びを 

取り入れることで、そのバランスが整いやすくなることが分かっています。 

感覚の不安定さがなくなると行動や情緒が安定し、日々の活動への適応が 

よくなると言われています。 

ただし、治療的な効果を狙ってはいますが、あくまでも“遊び”のため、 

その子自身が好んで、楽しく行えることが大前提です。 

 

気になる方は、「感覚遊び」「触覚/前庭覚/固有覚」をキーワードに、 

インターネット検索や書籍探しをしてみて下さい。 

沢山の遊びがあるため、きっとその子にぴったりな遊びが見つかると思います。 

 

参考文献: 

太田篤志(2012)「イラスト版発達障害児の楽しくできる感覚統合 

―感覚とからだの発達をうながす生活の工夫とあそび」合同出版 

木村順(2014)「保育者が知っておきたい発達が気になる子の感覚統合」Gakken